アニコム ホールディングス株式会社
アニコム先進医療研究所
アニコム ホールディングス株式会社(代表取締役 小森伸昭、以下 アニコム)は、富士フイルム株式会社(代表取締役社長 助野健児)と2016年に合弁会社「セルトラスト・アニマル・セラピューティクス株式会社」(代表取締役社長 松田周作、以下セルトラスト社)を設立し、動物の先端医療分野において、再生医療を中心とした高度な医療技術およびサービスを開発・提供してまいりました。当該事業について、2021年4月1日よりアニコム先進医療研究所株式会社(代表取締役社長 河本光祐、以下 ASM)にて引き継ぐこととなりましたのでお知らせいたします。
セルトラスト社では、これまで細胞治療の実用化に向けた診療方法の開発や、必要となる細胞を普及するための社会システムの構築といった事業を展開してまいりました。こうした資産やノウハウをASMで引継ぎ、アニコム損保をはじめとしたアニコムグループ間でのシナジーを効かせることで、従前のサービスをより強力に推進してまいります。
なお、セルトラスト社が中心となって設立した『動物再生医療技術研究組合※1』は、今後も継続して運営していくとともに、細胞治療市場の拡大に貢献すべく事業を推進してまいります。
細胞治療によって治療効果が見込まれる病気のひとつに、『慢性腸症』があります。慢性腸症とは、腸粘膜に原因不明の慢性的な炎症が生じ、食欲不振や嘔吐・下痢といった症状が起きる病気です。著しくQOLが低下してしまうため、罹患した動物・飼い主双方にとって心身ともに非常に辛い病気のひとつです。アニコム損保のペット保険でも、慢性腸症に対して年間約1,000頭に6,000万円程度の保険金をお支払いしており、この病気で苦しむ動物が多数存在していることがわかります。通常は食餌療法やステロイド剤といった標準治療を行いますが、効果が見込めず難治性あるいは致死的となる場合もあり、これまで「治らない」病気といわれていました。
▲幹細胞治療前 体重5.8㎏
▲幹細胞治療2年後 体重11.0㎏
この慢性腸症について、標準治療で改善がみられない重症例※2のイヌ25頭に対して細胞治療を実施したところ、その臨床症状は約70%のイヌで改善し、慢性腸症の指標のひとつである血中アルブミン値は約60%のイヌで改善するという結果が得られました※3。このことから、細胞治療は慢性腸症の新たな治療方法となり、根治できる疾患となる可能性が示唆されます。
現在、動物再生医療技術研究組合では、慢性腸症を含めイヌで14疾患、ネコで12疾患に対して細胞治療の研究を進めています。今後もアニコムではグループ一丸となり、治らない病気を治し、あるいは改善していくため、各種事業に注力してまいります。